
家電エンジニアの反町です。
コードレスクリーナーを選ぶときに、意外と困るのが吸込仕事率が書かれていないことです。
昔ながらのACコード式掃除機では「吸込仕事率〇〇W」と書かれていることが多いですが、コードレスクリーナーでは非公開のモデルがほとんどです。
吸引力の目安としてわかりやすい、コードレスクリーナーの吸込仕事率が書かれていないのはなぜでしょうか。
吸込仕事率を推測する方法はないのでしょうか。
その辺を掃除機の開発をしてきたエンジニアが解説します。
この記事を見れば非公表のコードレスクリーナーの吸引力の指標である吸込仕事率の目安がわかるようになります。
コードレスクリーナーの比較が楽になるので、ぜひ最後までお付き合いください。
なぜコードレスクリーナーは吸込仕事率を訴求しないのか?
吸込仕事率とは、掃除機が空気を吸い込む力をWで表したものです。
実際に床を掃除しているときのゴミ取れ性能そのものではなく、掃除機本体の吸い込み能力を表す指標です。
ではなぜコードレスクリーナーは吸込仕事率
理由はいくつかあります。
まず、コードレスクリーナーはACコード式に比べて本体が小さく、バッテリー駆動なので、吸込仕事率だけで見ると数値が小さくなりやすいです。
つまり表示しても消費者のアピールになりづらいです。
しかもACクリーナーと違い、コードレスクリーナーは吸込仕事率の表示義務もありません。
ダストピックアップ率で比較されることもありましたが、
フローリング上のゴミはダストピックアップ率は、差が出にくいです。
またダストピックアップ率ではストレスになりやすい絨毯の奥のゴミ、溝のホコリ、壁際のゴミの性能の差は分からず、吸込仕事率の方が便利な指標です。
吸込仕事率は電池スペックから目安を出せる
ではどうやって吸込仕事を求めるのでしょうか。
コードレスクリーナーはバッテリーで動きます。
そのため、電池の電圧、容量、最短運転時間が分かれば、強モード時にどのくらいの電力を使っているかを推測できます。
目安の式は以下の通りです。
吸込仕事率の目安
= 電圧(V) × 電池容量(Ah) × 60 ÷ 連続運転時間(分) × 係数A
ここで係数Aは、ざっくり以下のように考えます。
紙パック式:0.35
サイクロン式:0.25
実例① アイリスオーヤマ SBD-91P-T
では実際に吸込仕事率を公表している数少ないコードレスクリーナーを例に、
計算結果との差を見ていきます。
アイリスオーヤマのi10系のスペックは以下の通りです。
電圧:29.2V
電池容量:1,900mAh = 1.9Ah
最短運転時間:6分
係数A:0.35
計算すると、
29.2 × 1.9 × 60 ÷ 6 × 0.35
= 約194.2W
メーカー公表値は210W。
かなり近い数値になります。
実例② Dyson V8 Absolute
Dyson V8は公式に最大115AW、最大40分運転とされています。
また、V8は6セルのリチウムイオン電池を搭載していると公式に説明されています。
電池スペックを以下のように置きます。
電圧:21.6V
電池容量:2,800mAh = 2.8Ah
最短運転時間:7分
係数A:0.25
計算すると、
21.6 × 2.8 × 60 ÷ 7 × 0.25
= 129.6W
メーカー公表値は115AW。
こちらも大きくは外れていません。
目安としては50W以上あると安心
コードレスクリーナーを選ぶなら、個人的には
強モード時の推定吸込仕事率が50W以上
をひとつの目安にしてよいと思います。
50W以上あれば、コードレスクリーナーとしては実用上しっかりした吸引力があるクラスです。
逆に、計算して50W未満のモデルは、軽量・サブ機としては便利ですが、絨毯や溝の奥のゴミまでしっかり吸う用途では物足りない可能性があります。
まとめ
コードレスクリーナーは、吸込仕事率を公表していないモデルが多いです。
ただし、電池の電圧、容量、最短運転時間が分かれば、吸込仕事率の目安はある程度推測できます。
吸込仕事率の目安
= 電圧 × 電池容量 × 60 ÷ 最短運転時間 × 係数A
紙パック式なら係数は0.35前後、サイクロン式なら0.25前後で見ると、ざっくりした目安になります。
もちろん正確な数値ではありません。
しかし、メーカーが吸込仕事率を非公開にしているコードレスクリーナーでも、バッテリー仕様を見ることで吸引力の上限感は読めます。
なんとなくのマーケティングではなく、しっかりした数値で比較できる世界の方が私はいいと思います。
皆さんのコードレス掃除機選びの参考になれば嬉しいです。
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